<J2:G大阪3-2神戸>◇第25節◇20日◇万博

 復帰即2発!

 G大阪の元日本代表FW宇佐美貴史(21)が、古巣復帰戦で大爆発した。前半7分に右足で同点弾を決めると、同39分にはCKから逆転弾。FWで出場した日本代表MF遠藤保仁(33)も頭で試合を決めるなど主役2人が大活躍した。勝ち点で並んでいた2位神戸との阪神ダービーを制し、首位を死守。屈辱を味わったドイツでの2年間を経て「G大阪の至宝」宇佐美が最高の再スタートを切った。

 今季最多1万8193人が詰めかけた真夏の万博が「宇佐美祭り」に沸いた。ドイツから復帰した初戦で、いきなりの先発、そして2ゴールだ。1点を先制された1分後。前半7分にペナルティーエリア内で大森、二川と流れるようにパスをつなぐ。遠藤がスルーしてDFを引き寄せると、最後は宇佐美が右足で同点弾を決めた。同39分にも遠藤のCKを岩下が折り返し、足元に来たボールを再び右足で押し込み逆転。歓声も、運も、全てを味方につけた2ゴールだった。

 「1点目は打てば入るような状態。ヤットさん(遠藤)に感謝です。2点目も(岩下)敬輔クンを信じて、待っていた。素晴らしいボールをくれて、感謝。結果を出せて、試合にも勝った。すごく満足してます」

 2年間のドイツでの生活は、悔しさしか残っていない。所属したBミュンヘン、ホッフェンハイムで定位置を得られず、今夏2年ぶりに戻ってきた。この日、お立ち台で「こういう形で(日本に)帰ってきて、情けない気持ちもある」と正直な思いを明かした。

 Bミュンヘンに所属した昨年5月には、W杯決勝にも匹敵するほどの大舞台である欧州チャンピオンズリーグ決勝戦に日本人初のベンチ入り。本来であればJ2にいる選手ではない。日本代表のエース本田圭佑でさえ「宇佐美はもっと活躍する予想だった」と明かしている。

 2位神戸とは前節まで勝ち点で並び、J2優勝を争う宿敵だ。ただ宇佐美にとっては相性抜群で、10年7月28日の初出場からこの日を含めリーグ4試合全てに得点し計5ゴール。それでも前夜は不安で胸がいっぱいだったという。

 「神戸にはどの試合も点を取っている。でもそれを(前日に)メディアの人の前で言っちゃった。自分で言ってしまうと(連続得点が)止まるかな…と心配だったけど、点が取れて良かった。プロで(1試合)2点を取ったこともなかったので」

 レアンドロ、家長が途中退団し、入れ替わる形で加入した宇佐美にとっては最高の再出発となった。視線の先には目標の14年W杯ブラジル大会、欧州クラブ復帰もある。21歳は立ち止まることなく、全速力で走り続ける。【益子浩一】

 ◆宇佐美貴史

 うさみ・たかし。1992年(平4)5月6日、京都府長岡京市生まれ。G大阪ジュニアユース、ユースを経て高2でトップ昇格。09年5月20日のACL・FCソウル戦で17歳14日で公式戦デビュー。11年7月にBミュンヘン、12年5月にホッフェンハイムに期限付き移籍。11年5月にA代表入り。昨年のロンドン五輪メンバー。178センチ、69キロ。