前倒しデビューへ-。J2札幌に新加入したベトナム人FWレ・コン・ビン(27)が7日、札幌・宮の沢での練習に初合流した。8対8の戦術練習ではヘッドで“初ゴール”を決めるなどアピール。財前恵一監督(45)は、9日に登録が承認されれば、11日のホーム横浜FC戦(札幌厚別)でメンバー入りさせることを示唆した。当初18日のG大阪戦での初出場が濃厚だったが、1戦早まる可能性が出てきた。

 ビンが上々のスタートをきった。8対8の戦術練習では左MFとトップ下に入ってプレー。MF堀米の左クロスを、ファーサイドに流れながら頭で合わせ得点した。いきなりのアピール弾も「あれは堀米のボールが良かっただけさ。ラッキーだっただけだよ」と謙虚に振り返った。その後も、CKやFKのキッカーを務め、精度の高いプレースキックを披露するなど終始、輝きを放ち続けた。

 ベトナム人初のJリーガー。未知数の部分もあったが、しっかりとした足元の技術と的確なシュート力で、早くも指揮官のハートをつかんだ。動きを見た財前監督は練習後に、ビンの前で親指を立て“グ~”ポーズ。「FWとか前のポジションなら、すぐ使うこともある。登録が間に合って練習でもしっかりやってくれれば週末のメンバーに入れようと思う」とデビューの前倒しをほのめかした。

 来日が4日遅れ、当初は18日のG大阪戦でのデビューが濃厚だったが、ここにきて一気に手続きも進展した。6日のメディカルチェックで大きな問題は出ず、この日までに日本協会から選手登録の承認の連絡が届いた。8月に入って初練習だったがコンディションに不安はなかった。9日にJリーグ登録が承認されれば11日の横浜FC戦での初出場が実現する。練習を視察した三上大勝GM(41)は「手続き上の問題はない。あとは現場の判断だけ」と話した。

 会話の問題も、ブラジル人のFWフェホとは09年にプレーしながら覚えたポルトガル語で、他の選手とは英語で会話するなどコミュニケーション能力も抜群だ。さらにもう1つ強みがある。この日の札幌の最高気温は31度。汗ばむチームメートを尻目に「ベトナムは43度になるからね。過ごしやすいよ」とさわやかに笑った。夏の暑さをものともしない、新戦力が加わった。【永野高輔】