<J2:札幌1-3群馬>◇第36節◇6日◇札幌厚別

 プレーオフへ正念場を迎えた。J2札幌は群馬に敗れ、2連敗となった。前後半の立ち上がりで失点。財前恵一監督(45)はDFパウロン(23)を3カ月ぶりに先発起用したが、期待のセットプレーから無得点に終わった。後半39分には途中出場のMF河合竜二(35)が2度の警告を受け退場するなど、空回りした。10位に順位を下げ、残り6戦でプレーオフ圏6位長崎との勝ち点差は6となった。

 すべてが悪い方へ流れていった。0-1の後半1分。右サイドからのシュートをとりにいったGK曵地裕哉(23)がファンブルし、こぼれ球を押し込まれ2点目を献上。MF荒野拓馬(20)のゴールで1点差に追いついた同28分、DFパウロンが右手甲を負傷してピッチ外に出ている間に、FKから3点目を許して力尽きた。同39分には、ファウルで警告を受けた主将の河合が異議で退場と、悪循環は止まらなかった。

 クラブでは勝利給を倍増するなど、必勝モードで臨んだが、まさかの下位相手の2連敗。財前監督は「プレーオフへのプレッシャーからか緊張からなのか、ボールへの反応が遅く、セカンドボールも拾えず、攻撃の形をつくれなかった」と厳しい表情で振り返った。

 思わぬブレーキとなったのがDFパウロンだった。MF砂川誠(36)は「ビルドアップがぎくしゃくして、ロングボールばかり。札幌の持ち味である崩しのところがほぼ出せなかった」と指摘する。DFからパスでつなぎチャンスをつくるのが、財前監督が目指す攻撃のスタイル。公式戦から遠ざかっていた助っ人は戦術に融合しきれなかった。アバウトなDFからのロングボールが簡単に奪われ、守備の時間だけが増えていった。

 采配も裏目に出た。197センチのFWフェホ(28)、192センチのパウロン、187センチのDF趙成真(22)とセットプレーに強い助っ人を全員先発に入れ、守備的と読んだ群馬ゴールをこじ開ける策を用いた。結果はフェホがハーフタイム、趙が後半11分、パウロンが同33分に途中交代。勝負どころの終盤には、3人ともピッチを去っていた。指揮官は「準備不足だし、自分の力不足でもある」と認めた。

 これで6位とは残り6戦で勝ち点6差と、厳しい状態になった。もう1度、踏ん張らないと後がなくなる。砂川は「試合中に僕が間でもらうなど改善することはできた。この機会にみんなで反省しないと」と修正点を挙げた。ぎりぎりの状態だが、まだあきらめるときではない。【永野高輔】