仙台MF八反田康平(24)が、ゲームメーカーとしての高い素質を見せた。鹿児島キャンプ4日目の29日、10対10の実戦形式で正確なパスから次々とチャンスを演出。清水から期限付き移籍で加入した年男が心機一転、仙台で飛躍を誓う。

 左MFで出場した八反田が、1本のパスで流れを変えた。相手の守備が整っていると見るや、空いた逆サイドにポジションを移す。狙い通りにフリーでボールを受けると、すぐさま前線へスルーパス。FW柳沢の得点をアシストした。「周りと連動してチャンスメークするのが得意」と話すとおり、抜群の攻撃センスを証明した。

 基礎技術と判断力の高さで、10分×3本で生まれた得点の多くに絡んだ。供給するパスは、ほとんどダイレクトかワンタッチ。受ける前に周囲の状況を把握し、蹴る瞬間までしっかりとボールを見ているためミスも少ない。決して派手さはないが「今でも止める、蹴るを一番大事にしている」と攻撃のアクセントになる動きを繰り返している。

 現在のプレースタイルを確立したのは筑波大時代だった。現川崎Fの風間監督のもと、スペースがない中でもパスをつないで崩す練習を繰り返す中で「技術が足りないと気づいたし、サッカー観も変わった」と振り返る。プロ入りした清水では2年間でリーグ戦出場15試合に終わったが「ロングボールが多い戦術で、出るのは厳しいと思っていた」と新天地を求めた。

 その素質に目を付けていたのが仙台だった。八反田は「J2しかオファーがないと思ったけど、声をかけてもらえてうれしかった」と感謝する。アーノルド監督(50)がポゼッションの練習を繰り返している今キャンプで、日を追うごとに存在感が増している24歳は「今の段階では持ち味が出せそう。心機一転、やってやろうと思います」。大きな可能性を秘めたダイヤの原石が、仙台で輝く日は近そうだ。【鹿野雄太】

 ◆八反田康平(はったんだ・こうへい)1990年(平2)1月8日、鹿児島市生まれ。5歳からサッカーを始める。伊敷中ではディアマントFC鹿児島で全国大会出場。鹿児島中央高時代にはU-17W杯を経験。筑波大4年時にユニバーシアード優勝に貢献し、12年に清水入団。今季から仙台に期限付き移籍。171センチ、62キロ。血液型O。