J2札幌MF小野伸二(34)が、J2の盛り上げに一役買っている。知名度抜群の元日本代表の加入で、敵地でも札幌戦はドル箱カードになりつつある。26日愛媛戦の観客数は平均の約30%増となる5017人を動員。8月3日に対戦する北九州は小野を用いたPRを実施して28日現在、1週間前としては、通常の200~250%を売り上げている。各地に着々と小野効果が波及している。

 今季初の2万超えを果たしたホーム大分戦での小野デビューから約1週間、今度は相手クラブに小野人気が波及した。26日に愛媛戦が行われたニンジニアスタジアムでは、試合前のウオーミングアップが始まると「小野選手、小野選手!」とスタンド最前列にファンが集結。持参のカメラや携帯電話で写真に収めようと、一瞬で行列ができた。その後、試合開始が近づくとともに観客は増え、最終的に愛媛の平均動員3900人を大きく上回る、5017人に達した。

 これは序章でしかない。8月3日に対戦する北九州では、札幌側からデビュー戦のプレー画像を取り寄せて「天才と呼ばれた男、小野伸二

 本城で迎え撃つ」というフレーズとともに、街頭PR用ポスターを製作し、配布。公式サイトでも大きく取り上げた。28日時点でのチケットの売れ行きについてクラブでは「1週間前としては、通常の2倍から2・5倍まで伸びている。小野選手が来ることによる効果はある」と話した。

 9月19日に対戦する群馬は、2カ月先を見据えて、小野に絡めた集客プランを立てた。「試合用のプレゼントにしたい」と、札幌側に、会場での小野グッズの販売許可を申請。Jクラブ同士、協力しあうことがリーグの活性化につながるだけに、札幌側も既に快諾している。

 元日本代表で海外でも活躍した小野には、サッカーを普段見に行かない人でも競技場に足を向けさせる知名度がある。札幌でも、5日から発売した小野伸二Tシャツ付チケット1000枚が6日でスピード完売した。グッズ付きチケットが1000枚以上売れたのはクラブ史上初だった。そんなホームでの熱気は、アウェーにも確実に広がり始めている。敵地は残り10会場。日本全国、小野が行く先々で観客を集める存在になりそうだ。【永野高輔】