みそぎの1発で最終戦を締めくくる。J2札幌MF小野伸二(35)が、今日23日の最終磐田戦で14試合ぶりにメンバー入りする。今季は7月に途中加入も右太もも裏、左膝痛とケガに苦しみ、プレーオフ(PO)争い中のリーグ終盤に、力を発揮できなかった。来季残留は既に決定。Jリーグ3年ぶりゴールで鬱憤(うっぷん)を晴らし、雪辱の15年につなげる。

 ついに小野がピッチに戻ってくる。PO争いは終わってしまったが、最後の1秒まで全力を尽くすのがプロ。ベンチ入り確定に「どのタイミングで出るのかは分からないが、自分の持っているものをすべて出せれば」と気を引き締めた。バルバリッチ監督は来季のチームづくりも見据え「磐田戦で使ってみたい」と明言しており、後半途中からスーパーサブとしての出場が濃厚。98年W杯フランス大会をともに戦った名波監督率いる3位磐田を、小野の技でねじ伏せる。

 左膝の回復は順調だ。この日、宮の沢で行われた紅白戦は控え組ながらトップ下でフル参加。前線に走りだした内村に浮き球の縦パスを入れた。柔らかいボールタッチと、的確に味方FWの走り込むスペースを見定め配球する天才的テクニック。フェイエノールト時代、地元紙から「ベルベットパス」と名付けられた、あの感覚が戻ってきた。1プレーで流れを変えられる美技で、4戦ぶりの白星に導く。

 攻撃力アップのキーマンとして期待されただけに、最終節を残しての終戦に責任を感じている。前節福岡戦は完全合流直後とあり、メンバーに入れないまま、PO進出が消滅。「もっと早く合流していたら。責任を感じる。そういう意味でも大事な試合だし、サポーターもJ1に上がれなくて落ち込んでいる。勝って終わりたい」と前を向いた。

 札幌移籍後6試合で、まだ無得点。当然、パスだけでなく、Jリーグでは清水時代の11年10月23日甲府戦以来、1127日ぶりの得点も視野に入れる。「最後の最後でみんなに姿を見せられるのはうれしい。とにかく気持ちを出していく」。今季最後の公式戦は、パスとゴールとハートで盛り上げ、15年に向けた決意表明に変える。【永野高輔】