両サイド競争率“7倍”!

 J2札幌のバルバリッチ監督(52)が、沖縄合宿中に最も多くの選手を使い分けてチェックしているのが、3-4-3での両サイドMF。左右ともに、生え抜き選手を中心に7選手が競い合う状況にある。他ポジションも最低4選手がひしめいており、激しいチーム内競争が、チーム進化のポイントになりそうだ。開幕を1カ月後に控えたチームの現状を、沖縄合宿を取材する永野高輔記者が分析する。

 沖縄合宿の戦術練習で、バルバリッチ監督は原則、各選手を複数のポジションでテストしているが、中でも両サイドMFに関しては、多くの選手をチェックし続けている。9日の川崎F戦は左に石井、右に荒野が先発出場し、古田、前貴、榊が交代で入った。練習試合では時間制限もあり5人の起用にとどまったが、合宿中の戦術練習では堀米、神田、前寛ら期限付き移籍から戻った下部組織出身の選手がテストされている。

 これも15年チーム編成の狙いの1つでもある。今オフはFWナザリト、MFニウド、稲本らセンターライン補強を重点的に行った。サイドMFが本職の選手はいないが、三上大勝GM(43)は「若い選手が、まだ力を出し切っていない。サイドの争いの中で若いメンバーがもっとチームに絡んでほしいという期待をこめた編成」と説明した。

 昨季出場数を踏まえると、石井、荒野の2人が1歩リードも、当然確定段階ではない。本職がボランチや左サイドバックの堀米も「福島ではサイドハーフで出ることが多かった」と狙っている。さらに指揮官は、ボランチのニウドを右サイドでもチェックしている。「チームとして一番力を発揮する形を考える」と話しており、沖縄合宿終盤から熊本合宿にかけ、激しい競争に勝った者が開幕切符をゲットすることになる。

 他クラブからの獲得と並行し、自前の若い選手の成長を促す仕組み。サイドMF争奪戦で、確実に計算できる若手が出てくれば、今季だけでなく、将来的なJ1定着にもつながる。札幌の強みである下部組織出身の選手を刺激し、チーム全体の底上げに結びつける。