陸上の世界ユース選手権(コロンビア・カリ)男子100メートル、200メートルを、ともに大会新記録で制したサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が、世界記録保持者ウサイン・ボルト(ジャマイカ)との早期対決を熱望した。

 22日、成田空港に帰国したハキームを一目見ようと、報道陣約30人に加え「ボルトの記録を破った高校生が来るらしいよ」と集まった観客も300人超に上った。「ボルトさんは人類最速の人として尊敬しています。まだ勝てないので一緒に走りたくないですけれど、そう言っている間に引退してしまうので、できれば早めに走ってみたい」と、16歳は率直な思いを口にした。

 200メートルでは03年にボルトが記録した20秒40の大会記録を更新する20秒34で駆け抜けた。地元紙各紙も1面で取り扱うほどの大ニュースになった。「スペイン語だったので、何が書いているかは分からなかったけれど、写真がドーンってすごかった」と、本人もビックリ。同記録は8月の世界選手権(中国・北京)参加標準記録(20秒50)も突破し、追加登録での出場権獲得も確実だ。選出されれば短距離の個人種目としては日本史上最年少代表となる。

 次戦は今月29日から始まる高校総体(和歌山)だ。100メートル、200メートル、400メートルリレーの3種目に出場予定。今大会で10秒16を出した100メートルでも、日本人前人未到の9秒台が期待される。「9秒台は通過点。自分のベストを出していけば結果はついてくる」と、目標は世界王者超えだ。ガーナ人の父と、短距離で高校総体出場経験の母から受け継いだアスリートとしての素質はまだまだ成長過程。187センチと長身でダイナミックな走りが最大の武器。20年東京五輪だけでなく、16年リオデジャネイロ五輪でも世界を驚かす新星誕生となりそうだ。【鎌田直秀】