男女の1マイル(約1609メートル)と男子やり投げ、女子200メートルの4種目で今季世界最高記録が誕生した。特に女子200メートルのダフネ・シュキッパーズ(23=オランダ)の21秒93は、発足して7年目のダイヤモンドリーグで出た最高タイムだった。日本選手で唯一出場した男子やり投げの新井涼平(24=スズキ浜松AC)は、76メートル82の9位と振るわなかった。

 昨年の北京世界陸上金メダリスト、シュキッパーズの強さは圧倒的だった。スタートは得意とはいえないが、50メートルで早くも体ひとつ前に出る。曲走路の出口では2位に3~4メートルのリードを奪い、直線でその差を6~7メートルに広げていく。昨年の世界陸上2位のエレイン・トンプソン(23=ジャマイカ)に0・71秒もの差をつけてフィニッシュした。

 優勝タイムの21秒93はシュキッパーズにとって自己2番目ではあるが、「このコンディションのなかで22秒を切ることができたのは特別な価値がある」と喜んだ。

 オスロ大会の後半は気温が下がり、多くの種目が低調な記録で終わっている。そのなかでヴェロニカ・キャンベル・ブラウン(34=ジャマイカ)、アリソン・フェリックス(30=米国)という五輪金メダリストの2人が持っていたダイヤモンドリーグ最高記録(21秒98)を破ってみせた。

 男子棒高跳びも悪コンディションの影響を受け、ルノー・ラビレニ(29=フランス)の優勝記録は5メートル80にとどまった。

 だが、北京世界陸上金メダルのショーン・バーバー(22=カナダ)との対決は見応えがあった。5メートル65のバーはバーバーが先に跳んだが、その高さをラストチャンスの3回目に越えたラビレニが、続く5メートル73を1回目にクリアして優位に立った。バーバーも2回目に跳んで食い下がったが、5メートル80はラビレニだけのクリアで優勝が決まった。

 「タフなコンディションだったが、5メートル65を跳んだ後はリラックスできた」とラビレニ。全力の助走ではコントロールが難しいと判断し、歩数を少なくするなどしたベテランの調整力に軍配が上がった。

 女子3000メートル障害は、歴代2位記録保持者のルス・チェベト(19=バーレーン)が欠場し、昨年の北京世界陸上金メダリストのハイビン・ジェプケモイ(24=ケニア)が快勝。世界記録には届かなかったが、9分09秒57の好タイムをマークした。

 ◆今季の女子200メートル

 21秒台はオスロ大会のシュキッパーズと、先月28日のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会のトーリ・ボウイ(25=米国)の2人だけ。ユージーンでは21秒99のボウイが、0・12秒差でシュキッパーズを破っている。

 動向が気になるのは12年ロンドン五輪金メダリストのフェリックスと、昨年の北京世界陸上100メートル金メダルのシェリー・アン・フレイザー・プライス(29=ジャマイカ)の状態だ。13年モスクワ世界陸上で100メートル&200メートルの2冠を達成したフレイザー・プライスは、前半で大きくリードするタイプ。逆にフェリックスは、スピード持久力が武器の後半型。2人とも今季は、目立った記録を残していない。ケガなどで不調に陥っているのか、年齢を考えてピークを選考会とリオ五輪本番に合わせているのか。

 オスロのシュキッパーズの走りを見ると金メダル候補筆頭と言えるが、手強いライバルたちも多い。