男子100メートルで10秒01の日本歴代2位の記録を持つ桐生祥秀(20=東洋大)が、準決勝で追い風1・8メートルの条件下で、自己ベストタイ記録を出した。決勝は向かい風0・3メートルで10秒10で優勝。直前に行われた男子9~16位決定戦では追い風2・0メートルと最高の条件だったが、運もなく日本人初の9秒台は持ち越しとなった。

 17歳で初めて記録して以来1139日ぶりの10秒01に、桐生は「10秒01をもう1回というのは飽きた。どうせなら、もうちょっと出てほしかった。うれしさ50、くやしさ50。半々くらいです」と苦笑い。それでもレース中に、今月5日の布施スプリント(鳥取)で敗れた反省点だった、強く鋭く縦に地面を蹴る走りを試しながらの好タイムに、日本選手権(24日開幕、愛知・パロ瑞穂)への手応えも得た。リオ五輪派遣設定記録10秒01を突破したことにより、同選手権8位以内でリオ五輪出場が内定する。「これ以上、状態が上がると思うので自分でも楽しみに走りたい。8番なんて甘いことでなく、優勝して勝ち取りたい」。日本人初の9秒台での優勝で、リオ切符獲得を目標に掲げた。