<陸上:全日本実業団対抗>◇最終日◇23日◇福岡・博多の森陸上競技場

 末続慎吾(32=ミズノ)と江里口匡史(24=大阪ガス)、熊本出身の“ビッグ”なスプリンター2人が男子100メートルに出場した。

 江里口はこの種目で日本選手権4連勝中で、ロンドン五輪400メートルリレー5位入賞メンバー。今大会も日本代表歴のある川面聡大(23=ミズノ)や塚原直貴(27=富士通)らを退け、10秒44(追い風参考記録)で優勝した。

 しかし「今の力を出し切る走りをしたかったのですが、上手く走れませんでした」と不満顔。「10月の国体までに立て直したいですね。そして代表になりたいと言うのは今季で最後にします。来年以降は9秒台を意識しながら、国際大会にピークを合わせ、世界で戦うために集中していきたい」

 その江里口が世界を意識し始めたのが2003年パリ世界陸上200メートル。同郷の末続が銅メダルを取ったシーンを見たのがきっかけだった。江里口が日本のトップに進出したのは2008年。そのシーズンの末続は200メートルが中心で直接対決はなく、その年を最後に末続は休養に入った。

 2人は今大会で初めて一緒に走った。江里口は「憧れの選手だった末続さんと予選から3本一緒に走れてうれしかった」と、郷土の偉大な先輩に敬意を示した。

 末続は昨秋復帰したが、今年の日本選手権に出場できるレベルに戻らず、4大会連続五輪出場を逃した。今大会準決勝で2位争いに競り勝ったときは上位進出も期待できたが、決勝はスタートで他の7人に離され10秒74で最下位に沈んだ。「(予選、準決勝、決勝と)3本持ちませんでしたね。脚にピクピクと来て…。でも楽しかったです」

 今後も日本代表や記録を目指すのでなく、楽しく走るスタンスで競技を続けるようだ。それでも、今できる自分の走りを追い求めていく。「今シーズンは冷蔵庫のあり合わせで走ってみたようなものですが、今度の冬はまじで練習します。スタートも今日できっかけをつかみました」

 1位と最下位という結果だった新旧スプリンターの初対決。来季は2人が競り合うシーンが見られるだろうか。