陸上のダイヤモンドリーグ第8戦のアスレティッシマが4日、スイスのローザンヌで行われる。6月に各国で行われた国内選手権で、8月のモスクワ世界陸上の代表も大半が決定した。7月のダイヤモンドリーグは世界陸上の前哨戦的な意味合いが強くなる。

 最大の注目は男子100メートルのタイソン・ゲイ(30=米国)のタイム。全米選手権では9秒75の今季世界最高で優勝したが、記録が出やすいと言われるローザンヌのトラックなら9秒6台で走る可能性がある。

 2007年の大阪世界陸上で短距離2冠となったゲイだが、2008年以降はウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)に歯が立たなかった。9秒69の世界歴代2位を2009年にマークするなど“ボルト最大のライバル”の位置は確保していたが、故障もあって2011年以降の五輪&世界陸上はメダルに届いていない。

 昨年の今大会ではヨハン・ブレイク(23=ジャマイカ)が9秒69と、ゲイの歴代2位と並ぶタイムで走ったが、自身は9秒83で2位だった。

 しかし、昨年から今年にかけて故障を完全に克服。全米選手権の9秒75は、自己3番目のタイムで30歳代選手の世界最高記録である。ボルトとブレイクは今大会に出場しないが、9秒6台を出すことができれば世界陸上での金メダルが見えてくる。

 男子棒高跳びのルノー・ラビレニ(26=フランス)と走り高跳びのボーダン・ボンダレンコ(23=ウクライナ)。2人のジャンパーの記録にも注目だ。

 ラビレニはロンドン五輪金メダリストで、2009年に6メートル01と棒高跳び選手にとっての“大台”を征服。2011年には6メートル03、今年3月にも6メートル01と、室内も含めて6メートル台を3回も跳んでいる。セルゲイ・ブブカ(ウクライナ)の世界記録6メートル14までは難しいが、6メートル05の歴代2位記録を超える可能性は十分ある。

 ボンダレンコは第7戦のバーミンガム大会(6月30日)で2メートル36の今季世界2位記録に成功した。今季は5月のダイヤモンドリーグ上海大会でムタス・エッサ・バルシム(21=カタール)に敗れただけで、その後は5試合で勝ち続けている。

 ローザンヌの大会記録は2メートル39。今季2メートル40の大台をクリアしたバルシムが昨年跳んだ高さである。勢いと安定感の両方が感じられるボンダレンコにも大会記録、さらには今世紀2人目の2メートル40台が期待される。◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。