<箱根駅伝予選会>◇16日◇東京・陸上自衛隊立川駐屯地~昭和記念公園(20キロ)

 名将に率いられた拓大が10時間11分39秒でトップ通過し、2年ぶり33回目の本大会出場を決めた。同大初の留学生ランナー、ジョン・マイナ(1年)が全体1位を記録するなど、2位国学院大に4分差以上をつける圧勝。06年の箱根駅伝で亜大を優勝に導いた岡田正裕監督(65)が今季から就任し、チームの改革に成功した。

 箱根駅伝を知り尽くす名将、岡田監督のイメージ通りのレースだった。同大初のケニア人留学生マイナは日大のインカレ1万メートル王者ベンジャミンと一騎打ち。接戦を制して目標タイムとほぼ同じ58分23秒で全体1位でゴール。日本人選手も「予選会は後半勝負」の作戦を授けられ、好順位でトップ通過を果たした。「よそが悪すぎ。うちは予定通り。正直3番くらいはいけると思っていたけど」と穏やかに笑った。

 岡田監督は06年箱根駅伝で亜大を初優勝に導いた実績を買われ、今年2月から就任した。生活態度から見直し、合宿所の大掃除から始めた。力が突出した1年生留学生も特別扱いせず、雑務を行わせた。「あいつは別格という雰囲気がチームの乱れにつながる。マイナは私が食堂に来ると1番最初にお茶を持ってくる」。チームの和を重視した。

 練習量も激増した。同大OBで09年世界選手権マラソン代表の藤原新は「パッと聞いて理解に苦しむ数字だった」と言う。昨年より1カ月平均200~300キロ増。夏場は亜大時代と同様に熊本・阿蘇合宿で20日間で約820キロを走破。西山主将は「亜大の友達に監督のことを聞いたら『厳しさの中に温かみがある』と言って誰も悪く言わなかった。ついていこうと思った」と信頼を寄せた。

 トップ通過は吉兆だ。過去5年で4校は本戦でもシード権を確保した。「まずはシード権を取る。そして拓大は8位が最高だからそれを超えたい」。岡田監督は新天地でも歴史を塗り替えることを誓った。【広重竜太郎】