<陸上:関東学生対校選手権>◇第2日◇19日◇東京・国立競技場◇男子100メートル決勝など

 男子100メートル決勝は、9秒台の期待を背負う山県亮太(20=慶大3年)が10秒30(向かい風1・4メートル)で制し、初優勝。2位の飯塚翔太(中大)に0秒20差をつける快勝だった。昨年のロンドン五輪代表が、貫禄勝ちした。

 向かい風4・2メートルの準決勝を10秒68で通過して臨んだ決勝。「もう向かい風には慣れました」と山県は、勝負に徹した。スタートから数歩目にバランスを崩した以外は「思い描いたレースプラン通り」。喜びを爆発させるでもなく、クールな慶応ボーイはレーンに向かって一礼。「あとはトップスピードを上げるだけ」と9秒台は時間の問題と悟る。問題は高校生との先陣争い。「桐生くんが頑張っているのは分かる。でも、そうはいかんぞと。譲る気はない」。

 「余計なお世話かもしれない」と何度も断りながら熱っぽく話す。「9秒台を出す選手は、それなりの器が必要。精神的動揺、甘えやチヤホヤもされる。人間性が出来ていないと後でつらい思いをする。彼にそれを背負わせたくない」。9秒という分厚い壁を、自分がぶち抜くつもりだ。