五輪女王が「伝説作り」の土台固めの旅にたった。8月の陸上世界選手権(モスクワ)女子マラソン代表の野口みずき(34=シスメックス)が22日、米国ボルダーでの陸連合同合宿のため成田空港を出発した。現地で木崎良子(27=ダイハツ)福士加代子(31=ワコール)と合流し、1カ月の高地合宿を行う。

 04年アテネ五輪で金メダルを獲得。その後、どん底を味わった野口が最近、頻繁にする言葉がある。「伝説を作りたい」。世界大会で再び優勝することと「師匠」と呼ぶ広瀬監督の自己ベスト(2時間18分55秒)超えだ。「惨めな終わり方はしたくない」という思いから、あえて高いハードルを掲げはい上がってきた。タイムの目標まで17秒、もうひとつの目標は80日後にレースを控える。伝説作りの土台を、今回の高地合宿の地で築き上げる。

 数年前までの自分を「トンネルを抜けず表情も暗い灰色」と表現。帽子を目深にかぶり下を向いていた自分の今は「それが財産になった。ガツガツすることもなく精神的に軽くなった」と変わった。頭の片隅にもなかったリオ五輪も「3月の名古屋が終わって考えるようになった」という。完全復活走が待ち遠しい。