<陸上:高校総体京都府予選>◇最終日◇2日◇西京極陸上競技場◇男子100メートルほか

 陸上の男子100メートルで日本人初の9秒台を狙う桐生祥秀(よしひで、17=京都・洛南高3年)が、8月10日開幕の世界選手権(モスクワ)の準備を始めたことが2日、分かった。渡航に備えて、パスポートを新規で取得した。日本陸連の派遣設定記録をクリアしており、7日開幕の日本選手権(東京・味スタ)で8位に入賞すれば出場が決定。この日の高校総体京都府予選は100メートルを3本走って、決勝は10秒31で優勝した。

 「ジェット桐生」が、ウサイン・ボルトと激突する可能性が出てきた。桐生が、世界を視野に入れた。この日、モスクワでの世界選手権に備えるため、渡航に必要なパスポートを新規で取得したことが判明。順調にいけば、スタートラインに立つ見通しとなった。

 桐生は、高校総体路線と、日本選手権→世界選手権を両にらみで戦っている。5月31日からは16日間で最大20レースというハード日程。けがのリスクもあるだけに、1本、1本のレースに集中している。この日も世界選手権について「日本選手権が終わってから」と口にした。一方で「日本代表のユニホームを着て、世界で戦うことが陸上を始めた時からの夢だった」とも話しており、世界の舞台にあこがれを持っている。

 ボルトは、まさに夢の存在だ。「まだ生で見たことがないので、生で見てみたい。一緒に走ることができるなら、どこが違うか、感じてみたい」という。世界最速の男との勝負は、17歳の桐生にとって、最高の糧になることは間違いない。

 桐生は4月29日の織田記念国際で日本歴代2位の10秒01を記録して、世界選手権の派遣設定記録をクリア。日本選手権で8位入賞を果たせば、出場が決まる。日本選手権について「年上の選手と戦うので、緊張せずに1本、1本走って、高い順位をつけられるようにしたい」。目の前のレースに集中することが、世界への扉を開くことになる。

 この日の高校総体京都府予選の100メートルに出場。予選で11秒43、準決勝では10秒66。向かい風0・1メートルだった決勝では10秒31と、尻上がりにタイムを上げて優勝、3連覇を果たした。総体近畿大会(13日、奈良・鴻ノ池)の出場を決めた。「予選を通ることが目標だった。スタートは音を聞いてから出ると決めていた」。次は中4日で東京・味スタに舞台を移して、山県、江里口ら日本のトップスプリンターと勝負する。