「先生」で先駆者超え-。陸上の世界選手権モスクワ大会(8月10日開幕)の男子やり投げ代表・村上幸史(33=スズキ浜松AC)が7月31日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで合宿を報道陣に公開した。4月に日大の准教授に就任し、愛息敬汰くん(5)からも「村上先生」と呼ばれる09年大会銅メダリストは、「超えたい記録。扉を開きたい」と宣言。5度目の出場の命題に、溝口和洋が24年前に出した87メートル60の日本記録更新を掲げた。

 授業は週9コマ。大会後に生徒から「昨日はおめでとうございます」と祝福されることもあり、「意外にテレビで見てるんですよ」と目尻を下げる。だから、「『頑張ってきました!』と言いたいんです」。4月の織田記念では自己記録85メートル96のビッグスローも放ち、日本記録まで1メートル64。日本のパイオニアとの時を越えた勝負の先に、2個目のメダルも、生徒の笑顔も待っている。