<大阪国際女子マラソン>◇26日◇大阪・長居陸上競技場発着

 「本当に最後でいいんですね」。アジア大会代表選考の兼ね合いもある。それ以上に、万が一の引退撤回に願いを込めた?

 日本陸連・酒井勝充強化副委員長の問いにも、赤羽有紀子(34=ホクレン)は充実しきった笑みで「はい」と即答した。皮肉にも女子マラソン界の窮状を鮮明にする快走で、ママさんランナーはラストランを締めた。

 常に先頭で食らいつく。ヤジンスカに離され、ガメラシュミルコに追いつかれても気持ちは切れない。21年の競技生活を日本人トップでフィニッシュ。結婚して9年間、支えてくれた夫の周平コーチと涙の抱擁をかわした。ママさん選手として初の五輪出場、そして世界選手権入賞。「やりきりました。結果も順位も満足。幸せです」と時折、涙声で言葉をつないだ。スペシャルドリンクのボトルには、7歳の長女・優苗ちゃんと3人の写真が貼り付けられていた。泣いて笑ったマラソンロードに悔いはない。