20日開幕のグランプリ(GP)シリーズ第1戦、ロシア杯(モスクワ)から18年平昌五輪を目指す戦いが本格化する。各選手・組(ペア、アイスダンス)は最大2大会に出場。順位に応じてポイントが与えられ、上位6人・組が4季ぶり日本開催となるGPファイナル(12月7日開幕、名古屋)に進む。GPファイナルは五輪前哨戦で、13年の羽生結弦(ANA)ら優勝者が翌年の五輪金メダルにつなげた。

 2季連続でGPファイナル男子銅メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)が頭をかいた。8日に都内で行われたGPシリーズの記者会見後。ステージから降り、表情の硬さが和らいだ19歳は、冷静に戦いを見据えた。

 「ファイナルに出るのは難しいと思っている。2試合、いい演技をしないといけないので。だから、GPシリーズ1つ1つをこなして、その結果として出られればいいと思います」

 GPシリーズは95~96年シーズンに「チャンピオンシリーズ(CS)」の名で始まった。大会の数や国を変えながら、03~04シーズンから現在の開催国が定着。ロシア、カナダ、中国、日本、フランス、米国と6週連続開催され、12月のファイナルを目指す仕組みだ。

 6人(組)だけが出場できるファイナルへの道は険しい。GPシリーズ6大会のうち、出場できるのは最大2大会。そこで順位に応じて、1位15点、2位13点、3位11点…とポイントが与えられる。合計ポイント順に並べ、上位6人(組)に入る必要があるのだ。さらに、今季の日本はGPシリーズを平昌五輪代表の選考材料に設定している。

 各選手にとっても、五輪を見据える大切な舞台だ。世界有数のジャッジに自らの演技を印象づけ、さらには強豪との力の差を知る機会になる。前身のCSを含めて五輪シーズンのGPファイナルで、男女シングルの覇者は10人いるが、そのうち13年の羽生結弦ら6人が五輪金メダルを獲得している。

 今年のファイナルの舞台は名古屋。前人未到の5連覇を目指す羽生も「一生をかけて、命を懸けて頑張りたい」と本格化するシーズンへスイッチを入れる。ケガで出遅れが心配される女子のエース宮原知子(関大)も、第4戦NHK杯で昨年12月以来の実戦復帰を予定。目を離せない真剣勝負が幕を開ける。【松本航】

 ◆五輪代表選考 五輪代表は男子3人、女子2人で、全日本選手権(12月21~24日、東京)優勝者が最優先で代表入り。女子の2人目は全日本2、3位や全日本覇者を除くGPファイナルの日本勢上位2人、全日本終了時の3シーズンを対象とした世界ランキング、五輪シーズンの世界ランク、国際スケート連盟公認の五輪シーズン最高得点でいずれも日本勢トップ3の候補から判断する。男子の2人目は全日本2、3位、全日本覇者を除くGPファイナルの日本勢上位2人から選考し、3人目はここで漏れた選手と代表決定済みの2人を除く、全日本終了時の世界ランクなどから決める。

14年2月、ソチ五輪のメダルセレモニーで金メダルを披露する羽生(撮影・PNP)
14年2月、ソチ五輪のメダルセレモニーで金メダルを披露する羽生(撮影・PNP)
GPファイナル男女シングル優勝者の翌年五輪成績
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17~18年のフィギュアGPシリーズの主な出場選手
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