<高校ラグビー:東福岡83-7鹿児島工>◇30日◇花園◇2回戦

 スコアボードも予想外!

 花園3連覇を狙う東福岡が、鹿児島工に圧勝発進した。開始から4分間で3連続ノーホイッスルトライを奪うなど、前半だけで10トライ。トライ数が2桁の数字に対応できないスコアボードが、誤ったままの得点を表示するトラブルが起きた。強い東福岡を象徴する“珍事”で、偉業への幕を開けた。

 開始わずか30秒だった。キックオフのボールを自陣からつなぎ、あっという間にWTB中野が敵陣インゴールへなだれ込む。先制ゴールは序章。4分で3連続ノーホイッスルトライを決め、前半だけで10トライを重ねた。谷崎監督が「大会、ゲームの入りは意識しました」というド派手なオープニング。この猛攻が珍事も生んだ。

 試合が行われた第3グラウンドのスコアボードは、トライ数がひと桁しか入力されない。そのため10トライ目がカウントされず、前半のスコアは本来の「64」ではなく1トライ分少ない「59」の表示。試合中に何度も「スコアボードのトラブルにより、得点が違っています。東福岡の得点は…」と訂正のアナウンスが響く。想定を超える異例の対応も、東福岡の強さがそうさせた。

 人が動き、ボールも動く。止まらない連動した攻撃が、鹿児島工を圧倒した。前半15分で40-7の大量リード。その直後に7人制日本代表のFB藤田を早々とベンチに下げた。「指示なんで」と藤田は苦笑い。谷崎監督は「力抜けないやつなんで。冷えてきたし、肉離れが怖かった」と説明した。その後も主力と交代で控え選手を投入。花園を経験させながら、圧勝する。そんな戦力の厚さを披露して、3連覇への初戦を終えた。

 「チームとしてまとまってきている感じはする。FW、バックス一体となった攻撃ができた」とフランカーの木村主将は言う。前年度は決勝で桐蔭学園と引き分け、両校優勝で連覇を決めた。新チームも「負けられない」使命を背負う。「個」が強い分、チームのまとまりを欠くこともあったが、花園では万全に仕上げてきた。

 3連覇へ最高のスタートを切った。それでも主将は言う。「3連覇は意識してないですね。昨年の栄光は先輩の力。自分たちの代で(優勝を)というのはあります」。これで公式戦負けなしは76試合。負けない記録を伸ばし、偉業へと突き進む。【実藤健一】