<高校総体:相撲>◇30日◇青森県武道館

 相撲個人で鳥取城北(鳥取)・佐々木耕大(3年)が初優勝し、高校横綱に輝いた。決勝戦では明徳義塾(高知)・中井巧(3年)に両まわしを取られながらも、上手投げで破った。気の優しさをのぞかせる精神面の弱さを、豊富な稽古で克服し「引かない」と決めてつかんだ栄冠だった。

 佐々木は優勝を決めると、両手を上げて「ヨッシャー」と、雄たけびを上げた。自分の弱さを克服した最高の喜びだった。「この日のヤマ場でした」と振り返る決勝戦。公式戦初対戦となる明徳義塾・中井に両まわしを取られる苦しい展開だった。勝負を決めようと前に出る相手に「引かず」に素早く巻き返し、右上手を差して踏ん張った。最後は豪快な上手投げで勝負を決めた。

 「(石浦)監督に今日は引くなと言われたので、意識していた」と、話した通り最後まで引かずにつかんだ優勝だった。決勝トーナメント初戦の諫早農・梅野勝満(3年)との対戦では土俵際まで追い込まれ、ヒヤッとする場面もあったが、引かずに勝利した。ベスト16から決勝までの4番は寄り倒し、寄り切り、寄り倒し、上手投げと「引かず」に攻めて前に出る力強い相撲を見せた。

 昨年12月に左膝をけがした。それも稽古中に「引いた」からだった。「もう引かない」。そこから仲間との土俵内外での稽古を増やし、石浦外喜義監督(50)が「稽古はウソをつかない」という自信と粘り強さを手に入れた。

 「気が小さいところがある」と、自ら話す通り、仕切りに時間がかかることや、試合前には土俵上の相手ではなく石浦監督や仲間の方を向いてしまう。優しい一面を持つが、この日の土俵では「引かない」決心は揺るがなかった。

 将来は角界入りか、進学するかは未定だが、相撲は続ける予定。佐々木は「まずは明日、2連覇目指して頑張りたい」と、今日開催の団体戦での2冠達成を力強く宣言した。【松屋圭祐】