<高校総体:ソフトボール>◇12日◇秋田・由利本荘市ソフトボール場◇女子決勝

 ソフトボール女子決勝は厚木商(神奈川)が2-1で佐賀女に勝ち6年ぶり6度目の優勝を飾った。菊地咲絢主将(3年)をけがで欠いたが、175センチの2年生エース平田美希が5安打1失点に抑える力投を見せた。

 笑顔が優勝をもたらした。1点リードの最終7回。厚木商はノーアウト満塁の大ピンチを迎えた。追い詰められた選手を救ったのはベンチの菊地咲絢主将(3年)のゲキだった。「いい顔をしてしっかり守れ」。ナインのひきつった顔に笑みが浮かんだ。175センチの長身2年生エース平田美希は、強豪の佐賀女打線に最速96キロの快速球で勝負に出た。二ゴロ、三ゴロで2死を奪うと、最後は遊飛に打ち取った。優勝が決まるとベンチから選手が飛び出し、抱き合い、涙ぐみ、歓喜の輪ができた。

 今月2日の練習試合で、4番で捕手を務めていた菊地が左手甲を骨折し、今大会出場が絶望になった。しかし宗方貞徳監督(48)が「すごいリーダーシップを見せる」と言った通り「気持ちはひとつ」とナインに声をかけ、裏方としてチームを励まし続けた。優勝した瞬間、「何が起きたか分からなかった」と話した平田は「常にベンチの菊地さんを見ていました。支えになったので、その分まで頑張りました」と言った。

 5試合を1人で投げきった平田の憧れは、08年北京五輪で日本を金メダルに導いたエース上野由岐子(ルネサスエレクトニクス高崎)。ソフトボールは12年ロンドン五輪から除外され、20年大会での復活を目指している。平田は「オリンピックは目標です。復活して欲しい」と9年後の晴れ舞台を願った。【松屋圭祐】