世界的な金融危機による景気後退で、スズキとスバルが相次いで自動車の世界ラリー選手権(WRC)からの撤退を発表した。同選手権から日系メーカーは姿を消し、現状では来季の参戦はシトロエンとフォードのみ。世界最高峰のラリーが岐路に立たされている。

 スバルのほかトヨタや三菱が製造者部門を制した1990年代は、WRCは日本勢の全盛期だった。来季は改造範囲の少ないグループに、メーカーの直営チームとは別に日本車で参加するチームもあり、1台も走らないわけではない。それでも、スバルのチーム運営に携わったプロドライブのデービッド・リチャーズ代表は「スバルはWRCの象徴だった」などと撤退を惜しんだ。

 フォードは活動継続の方針だが、経営危機で米国政府に公的資金による救済を要請しており、参戦を疑問視する声もある。シトロエンだけになると、メーカー対抗の興味がなくなってしまう。

 日本での大会(ラリージャパン)は今年は3日間で約50万人の観客を動員。ただ隔年開催のため来年は行われない。大会の須藤憲光事務局長は「今後も大会は続ける方向。生の迫力は観客から好評で、地元自治体からも運営をこう改善したいという前向きな声が多い」と話している。