05年の米インディカーシリーズ年間総合王者で、今年のインディ500を制したダン・ウェルドンさん(英国)が16日(日本時間17日)、ネバダ州のラスベガス・モータースピードウエーで開催されたインディカー今季最終戦の決勝レース中、15台が絡む多重事故に巻き込まれて死亡した。33歳だった。

 200周のレースの12周目の2台の接触が多重事故に発展した。後方の車が事故回避のためブレーキをかけたところに後続の車が乗り上げ、何台もが宙を舞って側壁やその上の金網にたたきつけられ、炎上した。ウェルドンさんもそうだった。すぐにヘリで病院に運ばれたが、約2時間後に死亡が発表された。

 11年ぶりの開催だった同コースは練習走行の段階で時速約360キロの高速が出ており、1周約2・4キロのコースに34台がひしめく状況は不安視されていた。

 同シリーズに参戦中の佐藤琢磨(34)は事故を回避。自身のツイッターに英文で「彼は偉大な選手で紳士だった。モータースポーツに関わるすべての友人たちは彼の死を深く悼んでいる」とコメント。松浦孝亮、武藤英紀ら新旧のインディ選手、少年時代にカートで戦ったF1のバトン、ルーニーら母国のサッカー選手も追悼コメントを出した。

 レースは中止され、前戦までの成績でチップ・ガナッシのダリオ・フランキッティ(英国)が3年連続4度目の年間総合王者に決まった。

 ◆最近の死亡事故

 インディでは06年マイアミでの開幕戦でポール・ダナが前方の事故車に追突し、30歳で死去した。F1では94年サンマリノGPで3度年間総合王者に輝いたアイルトン・セナがコーナーを曲がりきれずコンクリートの側壁に激突し、34歳で死去。同GPでは予選でもローランド・ラッツェンバーガーが事故死した。オートバイのロードレース世界選手権では昨年のサンマリノGPのモト2クラスの決勝レース中の事故で、富沢祥也が19歳で亡くなっている。