トップリーグ(TL)準優勝のヤマハ発動機が東芝に勝ち、初の決勝(28日・秩父宮)進出を決めた。清宮克幸監督(47)の指導のもとで徹底して鍛えたフィジカルの強さを生かし、堅守でトライを許さなかった。

 最後までゴールラインを越えさせなかった。ヤマハ発動機は前半、不利とされる風下側を選んだ。清宮監督は「いつもそう。それがうちのリズム」とさらりと言った。前半は耐え、後半で逆転するプラン。強固な守備がそれを可能にする。

 相手ボールの時間が長くても、低く的確なタックルで止めた。「1トライ差までなら逆転できる」と読んだ通り2点差で折り返す。風上の後半は13分にSO大田尾のトライで逆転。FB五郎丸の3PGなどで得点を重ねた。前後半ともトライを許さず、後半は完封した。

 FWが看板の東芝を真っ向勝負で抑えた。清宮監督は「東芝にはフィジカルで負けていては勝てない。1、2年では足りなかった」と振り返る。4年前の就任時から練習にレスリングを取り入れた。96年アトランタ五輪のフリースタイル74キロ級銅メダリスト太田拓弥氏(45)を招き、タックルを磨いてきた。

 毎日午前6時から行うウエートトレーニングも進化させた。今季は現役ボディービルダーの井野川基知氏(34)に教えを受けた。ベンチプレスでは、バーを握る手の指の位置まで指導が入った。上腕二頭筋だけでも表側、裏側、前側、後ろ側と4つの部位に分けて負荷をかける徹底ぶり。プロップ山本は「体の芯が強くなった。東芝が相手でも終始焦らなかった」と効果を実感した。東芝が前半から選手を入れ替える中、「ヤマハの選手たちはピンピンしていた」と、井野川氏は胸を張った。

 再び頂点に立つチャンスを手にした。初優勝を目指したTLのプレーオフ決勝はパナソニックに12-30で敗れた。日本選手権でも優勝経験はない。五郎丸は「(TLで)持ち帰り忘れたものがある。それをとりに行く」と言い切った。【岡崎悠利】