柔道五輪3連覇の野村忠宏(40=ミキハウス)が8月31日、大阪市内で引退会見を行った。

 壇上にはアトランタ、シドニー、アテネで獲得した3つの金メダルが飾られ、報道陣約40社、120人が詰めかける中、野村は冒頭15分かけて引退に至る経緯と支えてくれた家族や関係者への感謝の言葉を語った。その後は1時間以上の質疑応答で、これまでの柔道人生を振り返った。

 引退を決めた直後の心境については「ちょっとふぬけになってます。ピリピリした真剣勝負の場に立つことがなくなることは、すごい寂しいと思うけど、やれることは精いっぱいやってきたし、後悔はない。寂しい気持ちはあるけど、すがすがしい気持ち」と、笑みを交えながら話した。

 引退発表した8月24日が、カザフスタンで行われていた世界選手権男子60キロ級と同日になったことには「たまたま」と笑って明かし、その世界選手権の個人戦で日本勢が男女計6個の金メダルを獲得したことには「みんな頑張って、強くなってきた。リオに向かっていい形を作れてきたなと、見ている」と感心。その上で「毎年開催(五輪開催年を除く)の世界選手権と、4年に1度のオリンピックは別もの。その意識を持って、さらに強化して、厳しい練習をしてほしい」と後輩にエールを送った。

 自身の将来については「僕にとってオリンピックは特別な舞台。来年はリオ、5年後には東京がある。オリンピックの選手を何らかの形でサポートできるように、いい形で関わっていけたらうれしい」と話し、指導者としての「柔道家・野村忠宏」を見据えていた。