2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設見直し問題を巡る整備計画経緯検証委員会の第3回会合が4日、都内で行われ、キールアーチなどを現場で組む際の資材置き場が計画段階で決定していなかったことが分かった。事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長などからヒアリングを行い、明らかになった。

 JSCは東京都、明治神宮外苑、JSCと地権者が入り組む外苑地区で、自由に活用できる土地がなかったと説明。検証委員から「資材置き場はどこにするつもりだったのか」と問われると鬼沢理事は「近隣の地権者の許可を得るところまで至っていなかった」と語った。

 河野理事長は「東京都と組織委と打ち合わせレベルで神宮第2球場ということでお話をさせていただこうと思っていた」と、地権者の明治神宮外苑の許諾を得ないまま、想定で建設計画を進めていたことを明かした。

 現地視察と聞き取りを終えた東大名誉教授・柏木昇委員長は「370メートルの長さのキールアーチをあの敷地内に建設するのは難しいとの声が多かった。ただ『無理』という話は出なかった。安藤忠雄さんもおっしゃっていたが、日本の建築技術を世界に見せつける挑戦だったのだろう」と話した。

 元陸上選手の為末大委員はこれまで述べ30人以上を聞き取ってきた感想を「これといった担当者がいればスムーズに進むけど、それが難しい。次の国立計画ではどういうコンセプトで誰が進めるかが重要」と責任の所在がなかった旧計画を批判した。