ウィンブルドン選手権を含むトップクラスのテニスの試合で八百長が横行していながら、男子ツアーを統括するATPが十分な調査を怠ったと17日、英BBC放送(電子版)などが報じた。BBCなどはATPが2007年に実施した八百長に関する調査文書などを入手。世界ランキング50位に入ったことのある選手16人が過去10年間に意図的な敗退行為をした疑いがあり、4大大会優勝者も含まれているとした。

 報道によると、ロシアやイタリア北部などに本拠を置く組織が、八百長が疑われる試合に賭けて数十万ポンドを得ていた。うち3試合はウィンブルドン選手権だった。08年のATPの報告書ではそれらの試合に関与した選手を調査すべきだとしたが、09年に発効した八百長防止規定より以前の事例のため、ATPは調査対象としなかった。

 ATPのクリス・カーモード会長は18日、今季の4大大会第1戦、全豪オープンが開幕したメルボルンで「(八百長について)継続的に注視している」と話し、調査を怠ったとの指摘を否定。男子シングルス1回戦を勝った錦織圭選手(日清食品)は「全く関与もしていないし、やろうと思うこと自体が全く理解できない」と不快感をあらわにした。

 またBBCは、ブックメーカー(賭け屋)などが八百長関与を疑っている現役選手のリストも入手し、うち8人は全豪オープンに参加している。米ニュースサイトの「バズフィード」は、宿泊先のホテルで選手が5万ドル(約585万円)以上で不正を持ち掛けられていると伝えた。

 電話の通話記録や銀行口座の履歴など八百長を断定する証拠がないため、選手の名前は明かされていないが、汚職やドーピングで揺れるサッカーや陸上に続くスキャンダルに発展する懸念も出ている。