世界ランク2位で前回準優勝の日本女子が、2大会連続の決勝進出を決めた。日本は伊藤美誠(15=スターツ)が、北朝鮮(同11位)エースのリ・ミョンスン(24)に3-2で逆転勝ちするなど、3-1で試合を制した。15歳での決勝進出は日本人初の快挙となった。明日6日の決勝は中国-台湾戦の勝者と対戦。勝てば71年名古屋大会以来45年ぶりの金メダル獲得となる。

 伊藤が15歳とは思えない驚異的な粘りで、日本を2大会連続の決勝進出に導いた。1番手で敗戦後の4番手で再登場。相手は初対戦の北朝鮮エース。最後は2-2で迎えた第5ゲームを、6-7から5連続ポイントで決めると、涙をこらえきれなかった。「やっと終わったというのもあるし、本当に勝ってホッとした」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 一番の苦しみは第3ゲームだった。シーソーゲームで先にゲームポイントを奪われてもジュースに持ち込んだ。ゲームを決めるチャンスボールをスマッシュミスしたことも響き、互いの攻防は18-18まで続いた。最後は3連続失点で力尽き1-2と崖っぷちとなったが、そこからが真骨頂。「今日の試合が人生で一番つらいと思った。第3ゲームで負けても、内容は良かったから我慢して、切り替えようと思えた」。第4、第5ゲームは見違えるような圧倒。村上監督を「1番で負けた。しかも2試合目で、18-20で落としたのに勝った選手なんてみたことない」と驚かせた。

 伊藤の我慢強さは、2歳から指導を続けてきた母美乃りさん(40)の教育方針にあった。どんなに小さくても、自分が決めた練習ができるようになるまでは決してやめさせない。園児にもかかわらず、泣きながら深夜に及ぶことも少なくなかった。スタンドで見守った母も「パワーは15歳なのに、よく我慢して耐えたなと思う。体力が心配でしたが、小さい時から我慢することを教えてきてよかったと、今日は思えた」。耐え抜いた娘の姿に、うれし涙が止まらなかった。

 銅メダルだった14歳の石川、15歳の福原を超え、15歳での決勝進出は日本人初の快挙。伊藤は「早めにこういう経験ができたことは、これからの自分にすごくいいこと。次(リオデジャネイロ五輪)に向けても頑張っていきたい」。それでもまだまだ満足するつもりはない。「金メダルを目標にやってきたので、あと1試合思い切ってやりたい。このチームに入れてすごく光栄です」。中学3年生が大仕事をやってのけた。【鎌田直秀】

 ◆伊藤美誠(いとう・みま)2000年(平12)10月21日、静岡・磐田市生まれ。2歳で卓球を始める。磐田北小に通い、豊田町スポーツ少年団に所属。全日本選手権バンビの部(小2以下)では小1(07年)で3位、小2(08年)で優勝。15年3月、ITTFワールドツアーのドイツオープン女子シングルスを14歳152日で制し、ツアー大会同種目での世界最年少優勝記録となり、ギネス記録に認定。15年4月の世界選手権ではシングルスでベスト8に進出。家族は両親。145センチ、39キロ。