世界反ドーピング機関(WADA)は13日、禁止薬物リストに1月から加えたメルドニウムで170件を超える違反が相次いでいる問題を受け、3月1日以前のドーピング検査で検出量が1マイクログラム以下である場合は容認する新たな見解を発表した。体内の残存期間を巡り科学的な証拠に問題があることが主な理由で、該当する選手の処分は回避され、五輪など大会に出場できる道が開けた。

 不整脈などの治療に使われるメルドニウムは持久力向上効果があるとされ、女子テニスのマリア・シャラポワら特にロシアのトップ選手から多く検出されている。ロシアのムトコ・スポーツ相は「規定に縛られるより、状況の理解に努めたWADAの決定を歓迎する」との声明を出した。WADAのリーディー委員長は「全員が免除されるわけでない」とした。

 WADAはこの問題で、摂取した薬物が体内に残存する期間の調査を継続中。メルドニウムを製造するラトビアの会社は「体内から完全に排出されるには数カ月を要する」との見解を示している。