神戸製鋼が2季前のトライ王、WTB山下楽平(24)の復活トライなどで逆転し、ジム・マッケイ新ヘッドコーチ(HC=49)に初勝利を贈った。

 逆転の口火を切ったのはやはり、躍進のキーマンだった。山下楽が「分かりやすいでしょう」と語る銀髪を、言葉通りに走りでなびかせ目立たせた。見せ場は7-17で迎えた後半7分。連続攻撃を続ける味方の密集に、左サイドからスルスルと駆け寄った。インゴールまで20メートル弱。「ハーフ(SH)が遅れていたので球をさばこうと思って行ったら、前に誰もいなかった」。普段はライン際でのスピード勝負が見せどころのWTB。だが、自身の嗅覚を信じて山下楽がラック際を駆け抜けると、相手は誰も追いつけなかった。ゴール中央に飛び込み「久しぶりで気持ちよかった」とボールを夜空に放り投げた。

 反撃のトライで勢いづいたチームは、その後にWTBアンダーソン・フレイザー(32)のトライなどで逆転に成功。山下楽は昨季第2節のNEC戦で左足首を骨折し、以降の公式戦出場はかなわなかった。「去年、トライを1本も取っていないので、だいぶ久しぶりですね」。マッケイHCも「ボールを持って走るスキルは素晴らしいアスリートの1人。ゲームへの参加率も高く、貢献が大きかった」と高く評価した。

 山下楽の復活が証明され、次節は9月2日パナソニック戦(ユニバ)を迎える。公式戦13連敗中の相手だけに、今度こそ勝利が欲しい。山下楽は「僕が神戸製鋼に入ってから勝っていない。初戦勝って、次も負けられない。いつも通り100%でやりたい」と力を込めた。