卓球女子でリオデジャネイロ五輪団体銅メダルの福原愛(27=ANA)が21日、都内で会見し、今月1日に結婚したリオ五輪台湾代表の江宏傑(こう・こうけつ=27)と2人並んで、結婚を報告した。着物姿で登壇し、指輪やプロポーズの言葉を披露。現役続行を明言したが、当面は「夫婦の軸」を築くため同居して奥様業に専念する。20年東京五輪も目標に掲げ、競技への復帰時期を考える意向を示した。今日22日には台湾でも会見を行う。

 福原は、最高の笑顔で、支え合ってきた江と見つめ合った。卓球人生24年。妻となって約20日。覚悟も決めていた。「新しい家族の軸を作ってから次のステージに進みたい。卓球の軸はしっかりできている。ただ、家庭、夫婦の軸はできていない。軸の地盤を固めてから卓球の軸に戻りたい」。今年から江がチェコリーグに所属しており、練習拠点はドイツ。新居のある台湾、日本を含めた4カ国が生活、練習の拠点となる。

 東京五輪に奥様選手として挑む使命感にも燃えている。1度は結婚後の現役引退も考えた。ロンドン五輪後、ケガに悩まされた時期も長かった。14年末に福原のSNSを通じて江から激励の言葉が届いたことが交際のきっかけ。「結婚=引退」の概念を変えてくれたのも江だった。「小さいころから女性アスリートは、家庭に入ることで夢を諦めなくてはいけないのかなと。彼の言葉や行動を近くで感じ、支えてくれる人がいれば頑張れるかなと思えた」と感謝。「後輩のためにも新しい道を切り開くことができたらいい。国際舞台で日本代表として試合に出られることは誇り」。妻、もしくはママになっても夢を継続する。

 活力はリオ五輪後のサプライズだった。台湾でいきなりのプロポーズ。江が用意した新居で「この家の主人になってほしい」と鍵を手渡された。「ビックリしました。頭が真っ白であまり覚えていません」。大きなプレゼントはもう1つ。江が「愛ちゃんのためにデザインした世界で1つだけの愛のシンボル」と表現した結婚指輪。卓球のボールやラリーをイメージしたお気に入りで、この日も左手薬指でキラリと輝いた。

 報道陣から求められ「私の好きなところは?」と頬を赤らめて夫に問う。「いつも私に感動をもらっているところと、一緒にいるととても温かい気持ちになれることだそうです。褒めていただいてうれしいです」。愛のラリーを続けた後は「ありがとうございました」と頭を下げ、恥ずかしそうに手をつないだ。【鎌田直秀】

 ◆江宏傑(こう・こうけつ)1989年2月22日生まれ、台湾・新竹市出身。中国文化大卒、合作銀行卓球隊所属。台湾代表で14年世界選手権銅メダル。リオデジャネイロ五輪は団体戦に出場し、1回戦でドイツに1-3で敗れた。世界ランクは現在79位、最高は47位。180センチ、70キロ。