SP5位の浅田真央(26=中京大)は、フリーで112・31点の6位にとどまり、合計176・78点の6位だった。GP初戦で表彰台を逃すのは8位だった10年のNHK杯以来。調子が上がらない状況に「焦らなくてはいけない」と苦しい胸のうちを明かした。2戦合計の上位6人が進めるグランプリ(GP)ファイナル出場は厳しくなった。

 滑り終えると、浅田は腰に両手を当て、肩で息をした。真っ赤な衣装で情熱的な女性の姿を表現する今季のフリー。最後のステップに心を込めたいところだが「ちょっと疲れちゃった」。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)、連続ジャンプを決め、力強く滑り出したが、中盤の連続ジャンプのミスをきっかけに勢いが落ち、足が思うように動かない。全体的に「いつもの半分ぐらいのパワーしか出せていない」。ステップも「キレがなかった」と反省を連ねた。

 1年間の休養から復帰した昨季は、GP初戦の中国杯でSPとフリーの両方でトリプルアクセル(3回転半)を決めて優勝。1年前は「仕上がりが早かった」が、今季は左膝痛を悪化させないよう抑えながら練習を積んできたため、まだ本調子ではない。トリプルアクセルや3回転の連続技なども精度が上がらず、構成に入れられない状態。「完成にほど遠い」と悔しがり「焦らないとだめ」と自分にハッパをかけた。

 ただ、悪いところばかりではない。ジャンプがそろわなかったため技術点は伸びなかったが、表現面を表す演技構成点は首位ワグナーに次ぐ2位。指導する佐藤信夫コーチも「今季は僕がいうのもおかしいが『うまいなぁ』と思いながら見ている。成長している」と芸術的なスケーティングに目を細める。

 後は体の問題。浅田は演技後入念にストレッチを行い、体をケアする。同行する日本連盟のトレーナーも「理にかなった動きをしていて本当に素晴らしい。自分で自分の体を把握している」とたたえる。「早く最高の状態で試合に臨めるようにしていきたい」と浅田。この日はケアを終えると、リンク裏のスペースで佐藤コーチと2人で約30分、今後について話し合い、笑顔でリンクを後にした。目指す演技を実現させるため、淡々と努力を続ける。【高場泉穂】

 ◆GPファイナル進出条件 6大会あるGPシリーズで、出場2大会の合計ポイント(P)上位6人がファイナル(12月8~11日、フランス・マルセイユ)に進出する。各大会とも1位=15P、2位=13P、3位=11P、4位=9P、5位=7P、6位=5P。