秋田ノーザンハピネッツ(東地区5位)が横浜(中地区5位)を84-60で下し、昨年11月27日以来の2連勝となった。本拠地に集結した今季最多の4457人のブースターは配布されたTシャツを着用。会場はピンク一色に染まり、田口成浩主将(26)はフロントを含めたチームの勝利とかみしめた。全体18チーム中15位で下位4チームのB1残留プレーオフ圏内だが、脱出へ勢いづく白星となった。

 満開の桜を見ているようだった。ピンク色に染まった超満員のアリーナ。田口は「アドレナリンが出て、最高の気分だった。ブースターの方々に感謝ですし、フロント、スタッフが死にものぐるいで集めてくださった。それに応えたい気持ちがあった」と高まる気持ちを試合へとぶつけた。

 出だしから全員の気迫がみなぎった。開始直後1分15秒で白浜僚祐(25)が相手からボールを奪い、ファウルを誘うとペースをつかむ。相手へ厳しく重圧をかけ、自由なプレーを許さない。いら立った横浜川村に第1クオーター(Q)でファウル3つを奪う。攻撃の要を早々にベンチに下げさせた。長谷川誠ヘッドコーチ(HC、45)も「守備からストレスを与えられた」と粘り強い守備でリズムをつかんだと評価した。

 言葉を力に変えた。秋田は現在残留PO圏内の15位。試合前の2週間、田口は「横浜戦に勝つ。絶対勝つ」と言い続けた。「断言すればプレッシャーとか緊張感が生まれる。負けられないという思いを口にすることで行動が変わってくる」と追い込んだ。満員の観客の前で気の抜けたプレーはできない。緊張感をみなぎらせ、仲間を引っ張った。

 苦しい時期だからこそ、前を向く。bjリーグ時代から一転、下位低迷の日々。田口は「16年は難しいことがたくさんあった」と振り返る。それでも新年を迎え「ポジティブに、スマイルを出してやらなくては。どの相手にも最高の準備をして挑戦者として向かう」と決意を改めた。20点差以上の快勝にファンの前では「最高でーす!」と叫んだが、会見では「まだまだ油断できる状況じゃない」と気を引き締めた。

 この日はNHKBS1で中継もあり、秋田の熱を全国へと発信できた。主将として「秋田が盛り上がっている雰囲気を出せた」と声援に感謝した。バスケ王国の熱狂に応えるには勝利しかない。B1残留へ一丸となっていく。【島根純】