宗教的戒律から女性の肌や髪の毛の露出を禁じているイランのレスリング協会関係者が21日、女性の全面的な競技解禁に向けた情報収集の一環として、愛知県大府市の至学館大を視察した。

 レスリングを国技とするイランでは女性のために約2年前から道着を着用して行うレスリングが始まり、現在は約100人の選手が取り組む。至学館大女子レスリング部は五輪金メダルの吉田沙保里選手(至学館大職)や伊調馨選手(ALSOK)らを輩出した名門で、一行は練習を見学し、学生寮にも足を運んだ。

 イラン協会国際部ディレクターで、世界レスリング連合(UWW)女性委員会委員のファルナス・パナヒザデフさんは「イランで女子のレスリング熱は高まっている。戒律を守りながら、五輪に参加できるように努力する。強国である日本から練習方法や選手の育成環境などを学びたい」と述べた。

 イラン協会では髪の毛や全身を覆うシングレットやヘッドギアの認可をUWWに求めているという。至学館大の栄和人監督は「女子レスリングの普及、発展のために協力していく」と話した。