東京五輪の金メダルを目指す五十嵐カノア(19)が3カ月ぶりの日本滞在を振り返った。前日の3回戦でまさかの敗退を喫したカノアは、サーフィン界の「レジェンド」でもある大野修聖(36)とともにサイン会に出席。サインと写真撮影に応じた後「東京からも来てくれた。ファンはありがたい。ファンのおかげでサーフィンを仕事にできる」と感謝した。

 敗退は「甘く見ちゃったのかも」と振り返った。大声援を受けて「ショーにしようと思った」。25分間という限られた時間の最後で大逆転し、会場を盛り上げようとした。しかし、思うような波が来ず「パワーのない小さな波しか来なかった」。ファンを喜ばせたい一心だったが、敗退しては逆に悲しませる。「次は気をつけます」と反省した。

 約1週間、日本を満喫した。「親戚にも、友だちにも会った。とんかつも食べた。大好きな日本で楽しめた」と話す。もともと、年1、2回しか戻らない日本は「ファミリータイムです」。戻るたびに今大会の会場となった一宮で波に乗り「リフレッシュする」という。しかし、今回はその一宮で大会に出場。「遊びにいくのか、大会に出るのか、そのバランスが難しかった」と、集中しきれなかったことを悔やんだ。

 世界最高峰のワールドサーフリーグ(WSL)チャンピオンズツアー(CT)に出場しているカノアにとって、次の目標は今季第5戦(全11戦)となるフィジー大会(6月4~16日)。28日は両親の地元でもある東京で過ごし、29日にはインドネシアのバリに出発。トレーニングとビデオ撮影をこなした後、フィジー入りする。「大切なのはフィジー。そこに向けて進みます」。笑顔の中の目は、真剣そのものだった。