アメリカンフットボールで対外試合出場禁止処分を受けた日大DLの選手が、退部の意向であることが分かった。日大関係者が15日に明らかにした。6日の関学大戦で、パスを投げ終えて無防備なQBに背後からタックルするなど3度のラフプレーで退場し、関東学生連盟から処分も騒動は拡大する一方。責任を感じて決意したという。関係者は反則が内田正人監督の指示だったとも明かした。内田監督は連盟へ10日付で8月末まで現場指導の自粛を申し入れていたことも判明した。

 日大関係者によると、反則を犯した選手は家庭の事情で約1週間、練習を休んでいたという。日大は厳しい指導で知られ、チーム内競争も激しい。この選手は騒動後に辞退したが、6月の中国での大学世界選手権の日本代表にも選ばれていた。実力ある選手ながらも出場機会が減っていて「精神的に追い込まれていた」と指摘した。

 内田監督は試合前に関学大QBを負傷させる趣旨の命令を選手にしていたともいう。実際に関学大戦後には「うちは力がないから、厳しくプレッシャーをかけている。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」と、指示を思わせるような発言もしていた。

 その後、関東学生連盟から暫定的処分が下り、関学大は抗議文送付を会見で明らかにし、テレビでも大きく報道され、騒動の拡大が止まらない。そんな状況に選手はさらに追い込まれ、責任を感じて「部をやめたい」と漏らしているという。

 内田監督は10日に厳重注意処分を受けると、12日の関大戦からベンチ入りは自粛すると伝えていた。さらにリーグ戦開幕前の8月末まで現場指導を自粛することも申し入れていた。

 春のオープン戦3試合は中止を申し入れられたが、チームは通常通り練習を続けている。この日も選手たちは世田谷区のグラウンドで練習したが、問題について問われても一様に無言を貫いた。日大広報部は「大学側としても調査中」としてコメントを控えた。