日本スケートボード界の「小さな巨人」が、パーク種目の「初代日本一」に輝いた。パークを専門にする笹岡建介(19)が1本目に76・67をマークして逃げ切り。2、3本目に得点を伸ばしたストリートが本職の池田大亮(17)を3点差かわし「2本目、3本目にミスをして不安でした。うれしいですね」と話した。

 身長152センチ。出場した小学生とも、あまり高さは変わらない。男女一緒の記念撮影では「初代女王」四十住さくら(16)の後ろに隠れた。それでも、名前をコールされてドロップインすると、誰もがその滑りに目を見張る。抜群のスピードでボウルを回り、高さのあるトリックで魅了する。

 国内ではストリートの大会が主で、パークの大会はほとんどないが「ストリートには出ません。好きなのはパーク。R(湾曲)を滑るのが楽しい」と話す。

 昨年4月に左ひじを脱臼骨折し、靱帯(じんたい)も痛めた。医者には復帰まで6カ月と言われたが「3カ月後に大きな大会があったので」。シンガポールで行われた世界最高峰のパークシリーズ「バンズ」アジア予選に強行出場。日本から出場の3人が表彰台を独占したが、その頂点に立ったのが笹岡だった。

 2人の兄もプロスケートボーダー。笹岡も兄たちを追うようにプロになった。現在は愛知のスケートパークで子どもたちを教え、自分の練習も続ける。昨年もアジアを制したが、アジア大会は「他の競技もあるから、どんな大会になるのか分からない」。それでも、「活躍を見せられたら、うれしい」と話す。

 2年後の東京五輪は「正直、分からない」と話すが「これをきっかけに、やる人が増えてほしいし、パークができる施設もできてほしい」。小さな体には、日本のスケートボード界を変える大きな夢が詰まっている。【荻島弘一】