6日に行われた日大との定期戦で負傷した関学大のQB奥野耕世選手(2年)が、同戦以来となる実戦復帰を果たした。

 0-7の第2クオーター(Q)残り1分12秒で試合に登場し、まずはキッカーのためにボールを地面にセットする「ホルダー」として、味方のFG成功に貢献。第3QからQBの役割を担うと、10-10の第4Qに38ヤードTDパスを成功させ、「素直にうれしかったです」と決勝点をもたらせた。

 3週間ぶりの実戦復帰までの道のりは、心身ともに傷ついた状態からのスタートだった。

 「1人になったときにちょっとニュースとか見てしまうと、いろいろ考えてしまうことあった。学校に行って友達や先輩にいつも通りに接してもらって、『なんかあったら言えや』とか言ってもらいました。周りに励ましてもらって、それでここまでいつも通りの、普通のアメフトができたのかなって思います」

 6日の定期戦でパスを投じた後、無防備な状態で日大のDL宮川泰介選手(3年)のタックルを受けて負傷退場。翌7日に右膝軟骨損傷と腰の打撲で全治3週間の診断を受け、その後も左脚のしびれが出た。

 騒動は日大の対応のまずさも加わって、社会問題化。宮川選手が指導者から反則行為を促されたと告白しながらも、日大の内田前監督、井上前コーチはそれを否定している。その点については「それについては…すみません」と言及を避けた。

 主催者によると「普段は1500人前後」という大会だが、この日は満員となる3000人の観客が見守った。鳥内監督は「3日ほどしか練習していないのに、いいパフォーマンスを見せてくれた。(第3Q以降の活躍で)オフェンスのテンポも良くなったので、上出来じゃないかな」と評価。周囲の騒がしさは落ち着きそうにないが、目標に掲げる日本一へ、19歳の青年が再スタートを切った。