平昌五輪フィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇を達成した羽生結弦(23=ANA)が30日、カナダ・トロントで練習を公開し、今季の新プログラムや昨季痛めた右足首の状態、今後の夢などを語った。

-今季のフリープログラムについて

陰陽師(おんみょうじ)(の曲)に「SEIMEI」とつけたみたいに「Origin(オリジン)」というタイトルをつけた。英語でオリジン。自分の中では起源とか始まりという意味を1番持たせたかった。スケートを楽しむこと自体を感じながらこのプログラムを滑りたい。

-(この曲を使用していた)プルシェンコ氏に関係するか

やはりプルシェンコさんが滑っていた印象がすごく強い。彼の代表するプログラムの1つなので使わせてもらうのも、ちょっと気持ちが恐縮する感じがあったけど、「コンティニューズ・ウィズ・ウイング」(4月に開催した羽生プロデュースのアイスショー)のとき、この曲を使わせてもらいますといって、許可をもらえた。「ぜひ、頑張ってね」という言葉をいただいた。彼の「ニジンスキーに捧ぐ」という素晴らしいプログラムはずっと消えないと思うし、僕の中でもすごく大切なもの。それとは別に自分のプログラムとして完成させることができたら。

-4回転半ジャンプは

まだ入れる予定はない。も、練習はしている。まだ降りてはいないのでかなり練習しないといけない。

-今季のSP(ショートプログラム)について

ジョニー・ウィアさんがフリーで使っていて、僕のスケート人生の中でも非常に印象に残っているプログラムの1つ。そこからスピンに手をつけたり、やわらかい表現だったり、曲の取り方だったり、ランディングの姿勢であったり、一つひとつに注意して演技をするきっかけになった。これもジョニー・ウィアさんに許可をもらった。

-今季、「起源」をテーマにした理由

はっきり言ってしまうと、自分の中で今まで自分のスケートをしなくちゃいけない、期待に応えなくてはいけない、結果を取らなければいけないという重圧がすごくあったのがいまは外れていて、これからは自分のために滑っていいのかな。自分がスケートを始めたきっかけは楽しかったから、自分の夢を追い掛ける過程が楽しかったから。その楽しかった過程、今まで歩んで大変だった道のりを思い返してその自分に対して恩返しというか、報われることをしてあげたいなという気持ちがあった。それでこの2つの曲にした。この曲を使ってやったらすごく楽しいと思った。自分が初心に帰り、スケート自体を自分のためにやることを感じれると思った。

-今跳んでいる4回転の種類と昨季痛めた右足首の状態

4回転トーループ、サルコー、ループは戻ってきた。ルッツはまだ不安がある。けがを再発しないよう、炎症を起こさないようにやめておこうと思う。(右足首の)痛みを自覚することはほぼなくなってきている。しっかりとケアして、コントロールしながらやっていきたい。

-今のモチベーションは

アクセル(4回転半ジャンプ)が一番の僕のモチベーション。やっぱり難しいなと思って、やっている。けど、すごい好き、楽しいですね。跳べるまでの過程も一つひとつ楽しみながら、すごく頭を使いながらやっている。

-今期中の成功の可能性は?

今季跳びたいというのが自分の中にある。そういう意味でもオリジンとつけた。小学校低学年の時、1時間の練習で45分くらいアクセルしかやってなかった。アクセルへの思い、難しさを感じながら、降りたときの達成感がスケートを好きになっていった要因でもあった。アクセルを大事にしたプログラムでもある。できれば今シーズンやるつもり。

-競技人生が終盤にきているという実感は

それはあります。ただ、いつやめるとかそういうのは全然考えてなくて、とりあえずいまはアクセル跳びたいという気持ちが強い。

-逆に跳べたら競技をやめるか

あはは。それは跳んでみないとわからないかな。GOEで加点をもらえるくらいのものじゃないと。回転不足だろうと指さされるようなものではいけない。最高のものを目指して練習していきたい。