ついにテニスの4大大会、全仏オープンが、新型コロナウイルスの影響で延期となった。当初、5月24日に開幕予定だったが、17日、主催者は、9月20日~10月4日の日程に変更すると発表した。主催のフランステニス連盟は「いつ終息するか不明の状況で大会の準備はできない。これが20年に行う最大のオプション」とコメントしている。

17日現在、フランスの感染者数は約6600人強で死者数は約150人弱。イタリア、スペインに次ぐ欧州3番目の多さで、フランス全土は、現地時間17日正午から外出禁止措置が採られている。延期はやむなしだ。サッカーの欧州選手権、南米選手権も1年の延期を発表した。

しかし、テニスは、1月から12月までの世界ツアーが、すべての基板となっている。ツアー下部大会も含めれば、1週だけで男女の大会は約15大会ほど開催されている。世界のテニス界、スポーツ界の最大イベントの1つが延期になるという決定は、この基板が大きく崩れるということだ。

すでに男女ともにツアーの7大会が中止か延期となり、男子は4月20日の週、女子は同月27日の週まで開催されない。ツアー下部大会も、男子ツアーと同様の措置が採られている。しかし、その間の大会が、どうなるかは明らかにされていない。

その中で、全仏は、延期される具体的な日程を発表した。しかし、その日程は、当初の予定なら、4大大会の全米閉幕から1週間後。そして、アジアツアーのまっただ中だ。9月21日からは、日本最大の女子ツアー大会、東レ・パンパシフィック(東京・有明)が予定されており、完全に全仏の新たな日程と重複する。

その前の週にはジャパン女子オープン(広島)、翌週には男子のジャパンオープン(東京)が予定されており、これらの大会は、どのようになってしまうのか。他の大会が動かせないなら、全仏以外の大会は、目も当てられない状況となる。

そして、東京オリンピック(五輪)だ。国際オリンピック委員会(IOC)は17日、予定通り開催する方針を確認している。この状況下で、五輪だけ通常通り開催できるかどうかは疑問だが、仮に開催されるとする。テニス競技は、6月8日の世界ランキングで、シングルスの各国地域最大4人まで出場権が決まる。通常なら、全仏直後のランクだったが、その全仏が延期となった。

全仏を含む4大大会は、優勝2000点など、最大の世界ランキングの点を稼げる舞台だ。つまり、当初の予定通りなら、全仏で上位に進出し、圏外から五輪出場を勝ち取ることも可能だった。それができなくなるどころか、現状の予定されている日程では、6月8日までに、ツアーは男子6大会、女子4大会しかない。

それも、欧州では最多の感染者数を出すイタリア、2番目の多さのスペインの大会が、男女ともに2大会含まれる。とても、今のままでは開催できないだろう。ほぼ世界のツアーは壊滅状態だ。男女合わせて3億ドル(約330億円)を超える賞金を誇る世界最大のスポーツツアーは、70年に始まって以来、見えない敵の前に、最大の試練を迎えている。