北京五輪で見られなかった陸上男子100メートルの夢の対決が、5日夜(日本時間6日未明)にブリュッセルで開かれるバンダム記念で実現する。9秒69の世界記録を持つウサイン・ボルト、前世界記録保持者のアサファ・パウエル(ともにジャマイカ)、昨年の世界王者のタイソン・ゲイ(米国)の3強が、今季のゴールデンリーグ最終戦にそろって出場する。

 話題の中心はやはり五輪3冠の稲妻ボルトだ。22歳の超大型スプリンターは「長いシーズンの終盤で疲れがたまっている。けがをしないように走る」と予防線を張る。だが強敵2人に背を押され、北京での驚異的な走りを再現するかもしれない。「プレッシャーはあるが、ベストを尽くす」と今季最後のレースに臨む。

 北京五輪で5位に終わったパウエルは、失意を乗り越え上り調子だ。2日のローザンヌ国際で世界歴代2位の9秒72をマーク。名誉挽回(ばんかい)のチャンスに「同じような状態で臨めれば、またいい走りができると思う」と自信をのぞかせる。

 7月に左太もも裏を痛めたゲイは、五輪は精彩を欠いて決勝へ進めなかった。「まだ100パーセントではない。走ってみなければ分からない」と慎重だが、北京の雪辱を期しているはずだ。