<陸上:全国高校総体>◇29日◇初日◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 男子400メートル決勝で伊堂駿(静岡・浜松商3年)が、48秒45で6位に入賞した。200メートルが専門で、400メートルの競技歴はわずか4カ月。自己ベスト(47秒73)更新はならなかったが、堂々の入賞を果たした。女子やりなげ決勝では、1年生でただ1人、決勝に残った金原莉沙(袋井)が44メートル11で7位入賞。女子1500メートル予選では中村真悠子(磐田北3年)が、県高校記録を8年ぶりに塗り替える4分22秒08で、今日30日の決勝に進んだ。

 レース後の控室。地面に突っ伏した伊堂に、立ち上がる力は残されていなかった。心配した係員が車いすを持ってくるほどだ。それほど全力を尽くし、競技歴わずか4カ月でつかんだ全国6位の座。胸を張っていい順位だが「とっても悔いが残るレース。だけど、今の力だとこれが限界。もっと限界を超えていきたい」。悔しさと、やりがいが見えた1日だった。

 予選を48秒42、準決勝を48秒04で突破して迎えた決勝。前半を抑えて、残り100メートルで勝負を懸けるプランだった。だが、3番手争いで迎えた最後の直線に入ると、体が動かない。「初めて(最後の直線が)こんなに長いと思いました」。48秒45と予選を下回った。「400メートルの展開がまだ上手じゃない」。6月の東海総体で優勝し、走るたびに自己記録を伸ばしてきた種目だったが、最後は経験不足を痛感した。

 400メートルは4月に、200メートルで記録を伸ばすこととリレーのために始めた。軽い気持ちだった。だが、今は違う。トラック種目で最古の日本記録(44秒78=91年)を持つ、高野進氏が指導する東海大への進学を希望し「日本記録保持者の意見を聞き入れて、後を追っていきたい。もっともっと強くなれる。100、200メートルだけでなく、すべてで」と言った。酸いも甘いも味わった、この4カ月。糧になった4カ月だった。【今村健人】