<陸上:全国高校総体>◇7月31日◇3日目◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 男子400メートル障害で岸本鷹幸(青森・大湊3年)が、高校歴代7位にあたる50秒64の自己ベストで初優勝を決めた。スタートから積極的に飛ばし、大会記録に0秒13差に迫る好記録でゴール。大湊勢としても、全国高校総体初入賞が初優勝になった。

 昨夏、準決勝敗退の悔しさを、岸本が見事に晴らした。4レーンから今季リスト1位の7レーン水野龍彦(神奈川・桐蔭学園)を追走。ラスト150メートルで「この距離ならいける」と確信し、自身初の50秒台でゴールを駆け抜けた。青森勢初制覇、東北勢としても昨年の記野友晴(福岡大1年=福島・会津学鳳出)に続く同種目連覇を果たした。

 ゴール後、感涙でトラックをぬらした岸本は「今まで支えてくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいです。(今季は)記録が伸び悩んで不安でしたが、ベストが出てビックリ。完ぺきでした」と謙虚に振り返った。「中学までは青森を出たことがなかった」という無名の存在が全国に頂点に立った。大湊入学後から本格的に400メートル障害を始め昨夏後、先行逃げ切りから追い込み型に変更。秋田国体(少年A)2位とジュニアユース優勝につなげた。

 自己ベストを1秒以上更新した岸本は「いろいろな人に支えられて出せた記録です。今日走った感覚を忘れないようにして次につなげたい」と意欲。記録更新が面白くてやめられなくなったというこの種目で「まだいけると思います。もっと走力をつけて伸ばしたい」と次なるステージを見据えた。【佐々木雄高】