フリースタイルスキー・モーグル女子の里谷多英(32=フジテレビ)が、自費で来年1月1、2日の北米杯(米パークシティー)に挑戦する。6日、里谷本人が明かした。今季のW杯日本代表から漏れ、10年バンクーバー五輪につながる来年3月2~8日の世界選手権(福島・猪苗代)の代表入りに黄信号がともったが、自費で北米杯に出場し、単身合宿にも臨む。全日本スキー連盟(SAJ)も、北米杯の結果次第でW杯代表に復帰できる救済策を設け、復活を待っている。

 里谷が背水の陣で今季に臨む。W杯代表落選から一夜明けた6日、気持ちを切り替え、1月から2試合行われるW杯の下部レース、北米杯に自費で遠征する意向を明かした。「やるしかないという気持ち。はっきりいって不安は大きいが、不安はこれまでの技術と経験で一掃して結果を出したい」とSAJにアピールする。

 W杯に出場できず、来年3月の世界選手権代表入りも厳しい状況だ。しかし、同選手権は10年バンクーバー五輪の代表選考に重要な大会だけに、あきらめるわけにはいかない。北米杯は若手の登竜門という位置づけだが、「2年間休んでいたから仕方がない。徐々にステップアップして上を目指す」。北米杯で好成績を挙げW杯代表に戻り、W杯で好成績を残して逆転の世界選手権代表入り-。そんな青写真を描いている。

 12月からの単身カナダ遠征もプランにある。今月下旬からは国内で滑走可能な場所を求めて合宿に入る予定。国内外の移動、強化の費用をすべて自費で賄う。一般的には100万円前後がかかるとみられる。

 復活にかける里谷に、SAJも国際大会復帰への道を用意する。フリースタイルスキーの林辰男部長は「明確な基準があれば本人も頑張れる。代表には必要な選手。条件をクリアして上に上がってきてほしい」と話し、北米杯での上位入賞という基準をクリアすれば、里谷の代表入りを認める方針だ。

 引退を撤回して再起を図った今オフ、長野・白馬で単身トレーニングを積んだ。その間、全日本ジュニア合宿に参加し、若手の中で自分を見つめ直した。「まだ負けられないと思ったし、始めたころのスキーの面白さを取り戻せた。スキー人生の中で一番練習したかも。ゼロからはい上がりたい」。五輪5大会連続出場に向けて、すべてを投げ打つ覚悟だ。