フィギュアスケート前世界女王の浅田真央(18=中京大)が、来年2月のバンクーバー五輪での金メダル獲得へ、女子史上初の大技に挑戦する。11日、愛知・豊田市の中京大での公開練習で、トリプルアクセル(3回転半)と3回転トーループの連続ジャンプに挑戦していることを明かした。男子でもトップ選手しかできない難度の高い技で、ライバルで現世界女王の金妍児(韓国)打倒へ臨戦態勢を整える。

 浅田が軽く1回転ジャンプを跳んだ。着氷と同時に鋭い3回転トーループ。次は最初のジャンプを1回転半に替えて、再び3回転トーループを舞った。後半に3回転トーループを組み込む連続ジャンプの練習だった。6日に来日したタラソワ・コーチが明かした。「真央は世界で誰もやったことがない1番複雑なことに挑戦している」。女子史上初の3回転半+3回転トーループ。「五輪で?

 私は期待している」と同コーチは自信をのぞかせた。

 昨季、浅田は3回転半+2回転トーループに成功した。それをこの日はウオームアップで軽々と跳んだ。3回転半ジャンプを跳べるのは現役では世界でも浅田と中野友加里の2人だけ。3回転半と3回転の連続ジャンプは女子では過去に成功例がなく、男子でもトップ選手しかできない。浅田は「フリーの『鐘』は五輪にふさわしい壮大な曲。それに負けない演技をしたい」と力を込めた。

 五輪で最大のライバルとなる金とはシニア転向後3勝4敗、うち4戦は1ケタ得点差での決着。新たな連続ジャンプは基礎点だけで2・7点上がり、金メダルにグッと近づく。さらに女子史上初の成功で、ジャッジにアピールすることもできる。ピタリと決めれば出来栄え点の大幅アップも見込める。

 タラソワ・コーチが付き添ったこの約1週間は、本番を意識して1曲を通した練習が増えた。今季は全6戦のGPシリーズのうち1、2戦目の出場とあって、例年より早い仕上がりが求められるが「この1週間で成長した。シーズンまでには大丈夫」。タラソワ・コーチも「完ぺきにスポーツ選手の体になった。去年の小さな娘から今年は力強い大人の美女になった」と肉体の成長が高難度ジャンプを支えていると力説した。「ジャンプの浅田」が五輪で真骨頂を迎える。【高田文太】