14年ソチ五輪を目指し、就職活動をしていたフィギュアスケート女子の村主章枝(29)が1日、都内でスポーツ選手のマネジメントやPR業のサニーサイドアップに入社、入社式に出席した。同社の事業内容に共感して入社を決意。スポーツ事業部に配属された。現役続行に必要な約2000万円の年間活動費を支援してくれるスポンサー探しは継続し、今後は新人として研修を受ける一方、同社とともに化粧品、薬品会社などスポンサー候補との交渉、契約に当たる。

 異例の社員アスリートの誕生だ。村主は先月11日、会見を開いて現役続行を表明、スポンサー募集を呼び掛けた。最近2シーズンはスポンサー支援のないまま競技を続け、貯金を取り崩すなどしていた。スポンサー探しのためにマネジメント会社数社を訪問、サニーサイドアップに社員として入社することを決めた。「自分の生活基盤をしっかりさせるために入社させてもらいました。ホッとしているのが正直な気持ち」と、就活成功に笑顔を見せた。

 同期5人とともに入社式に臨んだ村主は、会見に先立って「これをやってみたかった」と、真新しい名刺を取材陣と交換した。「現役アスリートとして成績を残すことはもちろん、日本の伝統美を世界に発信したい。あとはスポーツの普及のために貢献したい。それができる会社。新入社員ですから、何でもやります。(同社と)契約しているゴルファーの上田桃子さんのキャディーとかにも挑戦したい。ゴルフ経験はないんですが(笑い)。初任給はスケート靴を買うとかではなく、心を豊かにするためにお芝居を見たりに使いたい。就活が終わったので、これからは婚活も視野に入れます」。

 サニーサイドアップ社も話題作りではなく、戦力として計算している。日本PR協会の研修に参加させ、社会人としてのスキルアップを図る。中居進コミュニケーションデザイン室長は「これから教育していく。新入社員としては、ちょっとお化粧が濃すぎるとかね(笑い)」と期待している。

 一方で、選手として来年3月に東京で行われる世界選手権を目指す。「(14年の)ソチ五輪を目指すから就活した。一番近い目標は、来年3月に表彰台に上がること。ベースを新横浜プリンスホテルスケートセンターにおいて、佐藤紀子先生(コーチ)に見ていただく。海外のコーチなど、今後のことはこれから相談して決めます」と話していた。【小谷野俊哉】