<卓球:世界選手権>◇4日目◇11日◇オランダ・ロッテルダム

 【ロッテルダム(オランダ)11日=益子浩一】混合ダブルスで福原愛(22=ANA)と岸川聖也(23=スヴェンソン)組が、日本勢34年ぶりのメダル獲得に王手をかけた。この日の4回戦でシンガポールのペアを4-0で圧倒し、世界8強入りを決めた。今日12日の準々決勝で勝てば、混合では77年バーミンガム大会の田阪登紀夫と横田幸子組が2位に入って以来のメダルが確定する。石川佳純(18=IMG)と松平健太(20=早大)組は2-4で敗れた。

 歴史に残るメダル獲得に王手をかけても、福原も岸川も淡々としていた。第1ゲームこそ11-9の接戦だったが、後半の第3、第4ゲームはともに11-1の一方的な展開だった。試合時間わずか25分。汗をかくことも、息を乱すこともなく、世界ベスト8入りはあっさり決まった。

 福原

 実感はまだないですね。(日本が)長くメダルを取っていないことも知らない。とりあえず1試合、1試合。その後にメダルがついてくればいいですね。

 岸川

 最初の1、2ゲームで相手の集中力が下がってくるのが分かったし、逆にボクらは調子が上がってきた。正反対でしたね。最後は最高のプレーができたけど、まだメダルを考えるのは早い。まあ今日のプレーができれば絶対にメダルは取れると思いますけど。

 ぶっつけ本番だった。大会前に2人で練習したのは、直前合宿を張ったドイツで2時間だけ。ともにシングルスでは12年ロンドン五輪出場がかかっており、混合に時間を割くことはできなかった。昨年のアジア大会は同ペアで3位。試合をこなすごとに当時の呼吸を思い出し、さらに連係に磨きをかけていった。

 満足な練習もできず、そして疲労との闘いもあった。前日10日は混合2試合に加え、男女ダブルス2試合、シングルス1試合と、2人とも計5試合をこなした。宿舎ホテルに戻ったのは夜10時すぎ。すぐにベッドにもぐり込んだ。この日は、午前10時開始の混合4回戦に合わせるように朝早くに会場入り。オランダの街並みを見る余裕もない。まさに卓球漬け。その中でも精神を研ぎ澄まし、メダルへあと1歩のところまで到達した。日本勢34年ぶりの偉業へ。「愛&聖」の神聖なペアが、さらなる高みを目指していく。