<ラグビーW杯:日本18-31トンガ>◇21日◇1次リーグA組◇ファンガレイ

 日本代表が3連敗で、目標の「W杯2勝」が無残に散り、7大会連続の1次リーグ敗退が決まった。必勝を期したトンガ戦は競り負け。決勝トーナメント進出の可能性が完全消滅し、1次リーグ3位以内に与えられる次回15年大会出場権も獲得できなかった。91年大会ジンバブエ戦以来、20年ぶりの勝利を目指したが、W杯ワースト記録を更新する17戦未勝利。カナダとの最終戦(27日)で、名誉挽回の1勝を目指すしかない。

 悔しさと、絶望感でいっぱいだった。試合終了から約20分がたってもカーワン・ヘッドコーチ(HC)の目は赤く、ただ一点を見つめていた。いつもは片言の日本語を交えながら話を切り出すが、珍しく質問の全てを英語で答えた。「W杯2勝」を目標に掲げ、母国ニュージーランド戦に控え組を出してまでトンガ戦にこだわった。それでも勝てない、厳しい現実があった。

 「非常に残念。ターゲットはこの試合だった。ターンオーバーをされてリズムが作れず、18-28になった時の(相手との)接点の違いが致命傷だった。やるべき方向性が分かっていて、道具もそろっていたが」

 悲願だった20年ぶりのW杯勝利は自滅で散った。トンガには07年から5連勝中。世界ランクも日本の13位に対し、相手は15位と格下。勝算はあるはずだった。だが開始すぐにミスからゴール前にくぎ付けにされ、前半7分に先制を許した。

 その後も悪循環の連続。同14分に同点に追いついても、再開14秒後にノーホイッスルトライを奪われた。同30分にもキックオフからPGを献上。追撃してもすぐミスで突き放される。さらにSOアレジのキックもさえない。華麗なパスで会場を沸かせながら、自ら勝機を手放した。

 かつて日本には「魂のタックル」と呼ばれたフランカー梶原宏之のような猛者がいた。転んでも、転んでも、足首に食らいつく低いタックルで相手に食らいつく。泥だらけになった姿が、感動を呼んだ。覇気の感じられないニュージーランド戦に続き、トンガ戦はミスの連発。3大会連続のW杯となる33歳の小野沢は、悔しそうに言った。

 「そんなに簡単に勝てない。これまでも簡単に勝ててこなかったから、今がある。『いつも通りやればきっと勝てる』は、いつも通りではないんです。勝てていないのですから。それに気付かないといけない」

 3連敗で1次リーグ3位以内も消滅し、この大会での15年W杯出場権獲得はならなかった。19年にはW杯が日本で開催される。W杯通算1勝1分け21敗。このまま終われば、不名誉な記録とともに、日本ラグビー界が低迷する。「次は勝つ。20年ぶりに勝つことにこだわる」。カーワンHCの言葉が、むなしく響いた。【益子浩一】