＜柔道：講道館杯全日本体重別選手権＞◇１２日◇千葉ポートアリーナ◇女子７８キロ級

　昨年の世界選手権無差別級代表の佐藤瑠香（１９＝コマツ）が涙の復活優勝を果たした。同選手権で右膝前十字靱帯（じんたい）を断裂。１年間のリハビリを余儀なくされたが、復帰２試合目の準決勝で池田ひとみ（自衛隊）、決勝で緒方亜香里（筑波大）と今年の世界代表２人を撃破。来年のロンドン五輪代表争いに再び名乗りを上げた。男子４階級は、出場した世界代表６人が誰も優勝できずに終わった。

　勝利への気迫だった。ポイントが入れば終わる決勝の延長残り３０秒。仕掛けてきた緒方を、佐藤は１年間のリハビリでたくましくなった両腕の力で、引き落とした。空気投げの１つ、浮き落とし。有効が決まった瞬間、涙をこぼした。「絶対に勝ちたかった。うれしい」。両手で顔を覆った。

　昨年９月。世界無差別級の初戦で、右膝前十字靱帯を断裂した。クリスマスイブに再建手術を行い、病院で年越し。体重は８６キロに増えた。だが「絶対にロンドンを諦めなかった」。復帰は８月。足を使えない分、手だけで組み手練習も行ってきた。その努力が実った。

　復帰戦のＧＰアブダビ大会（１０月）で３位。２戦目での優勝に、女子日本代表の園田監督は「優勝する力がある子。緒方とうまく競ってくれたら」と喜んだ。五輪争いは世界２位の緒方が１歩リード。だが、佐藤は「正直（金メダルでないので）チャンスがあると思った」。身も心もタフな少女が、復活した。【今村健人】